ストーブリーグ開幕|横浜DeNAベイスターズ編

来季の主役になるだろう筒香嘉智

◆ 高校野球の知将が見出した左の長距離砲!

 8年ぶりに開催された日米野球は日本代表が3勝2敗。24年ぶりに勝ち越して終わった。4投手による「ノーヒットノーランリレー」の翌日、11月16日に行われた第4戦は1対6と敗れたが、唯一の打点をあげたのが、プロ5年目、22歳(11月26日が誕生日で現在は23歳)の筒香嘉智(DeNA)だった。

 先発の藤浪晋太郎(阪神)が打たれ、0対1となった2回表、1死二塁の場面。カウント2-2から、左腕のクリス・カプアーノ(ヤンキース)が投じた高めのストレートをレフト線へ二塁打。リプレー映像が流れる度に、アナウンサーも解説者も「うまいですねぇ」とくり返す一打だった。

 筒香は1991年生まれ、和歌山県出身。小学生時代はヤングリーグ・和歌山ニューメッツに所属し、小学生から硬球でプレーしていた。橋本市立隅田中学校に進むと、同じく硬式のボーイズリーグ・堺ビッグボーイズ(大阪)へ。3年春の全国大会でベスト8に入り、関西代表チームの一員としてボーイズリーグ世界大会に出場した。日本代表から一つ格下の「代表」だったが、練習を見にきていた横浜高校の知将・小倉清一郎コーチ(当時)の目に留まる。筒香は、小学1年生で見た松坂大輔(現・メッツ)擁する横浜高に強い憧れを持っており、相思相愛で進学が決まったという。

 小倉コーチが見出したのは長打力。1年春から4番に抜擢され、名門校の1年生スラッガーとして注目を集めた。甲子園には2年春、夏に出場。夏は大会タイ記録となる「1試合8打点」を記録した。

 主将を務めた3年時は甲子園出場ならずも、ドラフト候補として大きく取り上げられる存在に。当時の高校野球専門誌を開いてみると、投の逸材・菊池雄星(花巻東高→西武)と並ぶ、打の逸材として筒香が掲載されている。「内角への失投は一振りでスタンドインの絶対的スラッガー」「強肩を生かした堅実なサード守備」「投手にこまめに声をかけるなどリーダーシップも」といったコメントが並ぶ。

 2009年秋のドラフトでは、横浜ベイスターズ(当時)が単独1位指名。横浜高校のスラッガーから横浜ベイスターズのスラッガーへと、大いに期待を集めた。

 なお、この年、筒香のほかに1位指名を受けた高校生は、菊池雄星、今村猛(清峰高→広島)、今宮健太(明豊高→ソフトバンク)、岡田俊哉(智辯和歌山高→中日)、中村勝(春日部共栄高→日本ハム)。さらに、中京大中京高のエース・堂林翔太が広島に2位指名されるなど、現在のプロ野球で活躍する逸材がそろっていた。


◆ ハマのスラッガーから球界のスターへ!

 ドラフト指名直後、「プロのスピードやキレに慣れるには2~3年かかると思う。2軍でじっくり鍛えたい」と自ら話していた通り、1年目となる2010年は1軍出場3試合。イースタンリーグに腰を据え、ホームラン王(ルーキー新記録の26本)を獲得した。翌2011年もイースタンでホームラン王(14本)を獲得し、1軍で40試合に出場した。3年目となる2012年は、1軍で108試合出場。順調なステップアップと思えたが、中畑清監督は後に「他に選手がいなかったから起用しただけ」と切り捨てている。

 2013年は開幕スタメンを勝ち取るも、23試合出場、打率.216、3打点、1本塁打。2年目以降で最低の成績で、シーズン終了後に奄美大島で行われた秋季キャンプのメンバーからも外された。しかし、もともとが小学生の頃から練習の虫。ファーム施設がある横須賀のグラウンドで打撃フォームを徹底的に見直し、海外でトレーニングを積み、迎えた2014年2月のキャンプ。初日から「表情、体、打撃フォーム、すべてが違っていた」と中畑監督の信頼を勝ち得て、再び開幕スタメン、レギュラーの座をつかんだ。

 不調でスタメン落ちしたり、8月には試合中に負傷するなど一時期の離脱はあったものの、そんな試練を乗り越えて114試合出場、打率.300、77打点、22本塁打の成績を残した2014年。そのしめくくりが、日本代表メンバー選出だった。負傷した中村晃(ソフトバンク)の代わりながら、「出る以上は結果を出したい」と話した通り、安定した打撃で小久保裕紀監督の起用に応えてみせた。

 24日の契約更改では、3000万円アップ(推定)で一発サイン。記者会見では「来季はチームの顔として引っ張ってほしいと言われた。全試合に出場して、今年以上の成績を残したい」と意気込みを語った。

 中畑監督はすでに、「来季は全試合4番で起用するつもり。王貞治さんのように、お客さんを呼べる選手になってほしい」とプレッシャーを与えている。対する筒香は、「4番は与えられるものじゃない。取りにいきます」と切り返す。

 完全なるレギュラーと考えれば、来年が実質プロ2年目。「2年目のジンクス」を払いのけて、チームの顔、球界のスターとなれるか? ハマのスラッガーにとって勝負のシーズンになることは間違いない。

文=平田美穂(ひらた・みほ)

BASEBALL KING

 

オーナー変更はどうなるか? 

 横浜DeNAは16日、同本社の創業者で取締役の南場智子氏(52)が新オーナーに就任すると発表。日本プロ野球界初の女性オーナーが誕生したが、横浜市内の会見場に祝賀ムードはなく、悲壮感さえ漂っていた。

 この日の人事は、前オーナーの春田真氏(46)が6月に本社取締役会長を退任することが決まったのを受け、シーズン途中のオーナー交代という事態を避けるため、ひとあし早く南場氏へバトンタッチした格好だ。

 南場オーナーは「私たちは6月以降もいろいろな形で春田を頼りにしていきたい。アドバイザーとか顧問といった立場になる予定」というが、その春田氏は自分の意思でDeNAの一線を退き、新天地を求めるもようだ。

 南場オーナーは「この席にふさわしいコメントかどうかわかりませんが…」とした上で「私は正直言って自分が球団のオーナーになるとは想像していませんでしたし、春田と代わりたいと思ったこともない。私と春田はいわば“二人羽織の社長”として本社の経営をしてきました。その彼が取締役を去ることになったのは、私にとって体を半分もぎ取られる思い」と沈痛な表情を見せた。

 南場オーナーは1999年にディー・エヌ・エー本社を設立して当初から社長を務め“カリスマ経営者”といわれたが、2011年以降、病気療養中の夫の看病に専念するため取締役に退いている。

 一方、春田氏は球団買収時に、同本社内でいち早く「ほしいものがあります」と意欲を見せ、球界参入初年度の12年からオーナーを務めてきた。

 池田球団社長は「女性ファンが増えている現状もあり、女性の観点からアドバイスをいただけるのではないか」と女性オーナーに期待する。が、実際にオーナーと社長がどう役割を分担し何を目指していくかは現段階で不透明。当面“春田退任ショック”を払拭するのに時間がかかりそうだ。 (宮脇広久)

 
 
獲得 
ユリエスキ・グリエル(内野手)
ユニエルキス・グリエル(内野手)
ホセ・ロペス(内野手)
岡島秀樹(投手)

退団 
金城 龍彦(外野手)
トニ・ブランコ(内野手)
エンジェルベルト・ソト(投手)
ホルヘ・ソーサ(投手)