金城 巨人1号は涙のV弾、古巣討ちで原監督離脱ピンチ救った

 ◇セ・リーグ 巨人3―0DeNA(2015年4月15日 横浜)

 巨人の金城龍彦外野手(38)が15日、DeNA戦で0―0の7回、右越えに決勝3ランを放った。今季FAで移籍したプロ17年目の38歳が昨季まで在籍した古巣相手に移籍初で、13年以来2年ぶりとなる値千金の一発をお見舞いした。原辰徳監督(56)がインフルエンザB型に感染して離脱する緊急事態の中、チームを救ったベテランの一振り。今季2度目の3連勝を収め、勝率5割に復帰した。

 感極まり、思わず声を詰まらせた。試合後。「原監督も喜んでいるのでは」と問われた金城の目は真っ赤になった。

 「本当によかったと思う。本当に感謝していますし、(テレビで)見ていただけたと思います」

 慣れ親しんだ古巣・横浜スタジアムで、初めてビジターの三塁側で受けたヒーローインタビュー。ここでも瞳はずっと潤んでいたが、獲得してくれた指揮官について話す際、こみ上げる思いをこらえきれなくなった。

 0―0の7回2死一、二塁。ベテランは冷静だった。「ああいう攻め方が多かった。浮いた半速球を狙った」と、2ボール1ストライクから元同僚モスコーソの高めチェンジアップを狙い打ち。金城らしい、バットごとぶつけるような野性味あふれるスイングで、右翼席に運んだ。13年9月17日のヤクルト戦、同じ横浜スタジアムで放って以来575日ぶりの移籍1号。それも決勝3ランだ。監督代行の川相ヘッドコーチと、原監督のトレードマークであるグータッチを交わした。川相代行も「打った瞬間にいったと思った」と称えた。

 試合前、チームに衝撃が走った。原監督がインフルエンザの診断を受けてチームを離脱。ナインは練習前に三塁側ロッカールームで行われたミーティングで、原沢敦球団代表兼GMから説明を受けた。チームの危機を救ったのが、原監督から「若手の手本になる」と野球に取り組む姿勢を絶賛されていた金城だった。

 38歳のベテランも「感謝しかない」と言う。DeNAからFA宣言した際に唯一、手を挙げてくれたのが巨人。原監督は開幕の出場選手登録から金城を外した際にも「2軍に落としたわけではない」とチームに帯同させ、開幕3戦目には登録した。当初は代打生活。「チームの戦力になれることだけ考えて準備している」と結果を残し、9日広島戦(マツダ)から1番で先発起用された。4年前から本格的に取り入れた筋力トレーニングは遠征先でも欠かさない。ベストの80キロ前後をキープしつつ「体脂肪率が下がり、筋肉の量が増えた」と手応えを口にする。

 チームの非常事態に、金城の一振りで勝ち取った1勝。3連勝で勝率を5割に戻した。試合中はDeNAファンからの声援は「集中して聞こえなかった」と言う。しかし、DeNAにも原監督にも恩返しをした試合後には「出来過ぎだと思います。やってきたものが出た」と感慨に浸った。

 ≪3人目の“恩返し”≫金城(巨)が移籍後初となる先制3ラン。FAで巨人に移籍した野手は金城が8人目だが、移籍1号を前年所属チームから放ったのは95年広沢(前年ヤ)、00年江藤(同広)に次いで3人目。決勝弾となったのは金城が初めてだ。金城が本塁打した球団と本数は

巨・ヤ・神・中・広・ロ・西・ソ・オ・D・計

21・21・18・14・12・6・5・3・3・1・104

DeNAが10球団目。日本ハムと楽天から記録すれば12球団本塁打になる。

 
 
 
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