広島・新井貴浩内野手(39)が26日・ヤクルト戦(神宮)の3回に左翼線へ適時二塁打を放ち、プロ18年目で史上47人目の通算2000安打を達成した。
舞台となった神宮は、駒大時代の4年間で東都大学リーグを戦った球場だった。だが大学では通算2本塁打で、1998年のドラフトでは6位で広島に指名された。当初の評価は実に低かった。
「下手クソだった自分が、よくここまで来られたと思う。周りの人の支えがあってこそ。本当に“おかげさま”です」
2008年に阪神へFA移籍。野球人生最大の危機が14年に訪れた。来日1年目のゴメスに一塁の定位置を奪われた。オフには年俸2億円から野球協約での減額制限(1億円超の場合は40%ダウン)を超える7000万円前後の提示を受けた。
出場機会を得るために自由契約を申し入れ、8年ぶりに広島へ復帰。年俸は阪神の提示を下回る2000万円だったが「お金の問題ではない」とひるまなかった。
古巣で迎えた昨季はレギュラーの座を奪取し、チーム最多の78試合で4番を務めた。シーズンでは117安打、打率・275。「阪神に残っていたら? (2000安打は)あるわけない。昨年からまさかまさかの連続で今年も続いている」
同い年の親友で巨人、中日で捕手としてプレーし、14年限りで現役を引退した野球評論家の小田幸平氏は、兵庫・市川高1年の秋、遠征先の練習試合で広島工高と対戦したが、そのとき新井と出会った。
小田氏は「2打席連続本塁打を打たれました。当時もすごい打者で上級生だと思っていた。最寄りの駅まで新井のお父さんに車で送ってもらいました」と振り返る。
「プライベートで会っても野球の話ばかり。『おれは下手だから練習しないと』が口癖。並大抵でない努力と根性のたまものだと思う。“泥臭い野球”という言葉がよく似合う」とたたえた。
かつてどん底を見た男は「2000本は節目だけれど、そこを目指してやってきたわけではない。これから少しでも勝ちに貢献できるようにしたい」。自身初、チームにとっては1991年以来25年ぶりのリーグ優勝に集中する。 (宮脇広久)
阪神・金本知憲監督(48)が27日、前日(26日)に通算2000安打を達成した広島・新井貴浩内野手(39)への祝福コメントを出した。
「おめでとうございます。両親と神に感謝ですね。(打撃指導は本塁打王を獲得した2005年の)43本打った時が一番教えたね。それで(自分が)ホームラン王を逃したのもいい思い出。広島に帰ったのが一番大きかったんじゃないかな? カープファンが受け入れてくれたから打てた」と、感慨深そうに弟分の偉業を喜んだ。アニキらしい“じらし”で1日遅れの祝福コメントとなった。